若林晃一税理士事務所

契約前に押さえておきたい 生命保険の死亡保険金に対する3種類の税金について解説します

生命保険の死亡保険金には税金がかかります


生命保険をかけられた人が死亡した時に支払われる保険金を死亡保険金と言いますが、死亡保険金を受け取った人には税金が課税されます。

しかし、どのような契約を締結していたかにより相続税・贈与税・所得税など異なる種類の税金が課税されます。

一定の金額が非課税になる場合もあるのですが、適用するには契約の時点で適正な契約を締結している必要があります。

保険金は大きな金額になることが多いので、将来保険金を受け取った時にどのように課税されるのかということを知っておいたうえで契約することをおすすめです。

この記事では死亡保険金を受け取った時にどのような税金が課税されるのかということを図解でわかりやすく解説します。

おさえておきたい生命保険の基本用語

生命保険金に対する課税関係を理解するには、まず次の基本用語をおさえてください。

(1)保険契約者
保険会社との間で保険契約を締結する人です

(2)保険料負担者
保険料を支払う人です。保険契約者が保険料負担者である場合がほとんどなので、保険契約者と読み替えてもほぼ問題ありません。

(3)被保険者
保険を掛けられた人です。被保険者が死亡した場合や病気になった場合などに保険金が支払われます。

(4)受取人
保険金を受け取る人です。

生命保険の課税関係を理解するうえで出てくる登場人物はこの4人です。

特に(2)保険料負担者が誰なのかということをおさえると課税関係が理解しやすくなっています。

この点に着目して次からのケース別の課税関係をご確認ください。

相続税が課税されるケース(最も一般的です)

死亡保険金の受取人に対して相続税が課税されるのは 保険料負担者=被保険者 の場合です。

例えば次のように生前父が保険料を負担していた生命保険契約について、父が死亡したことにより死亡保険金が長男に支払われた場合には、

保険料負担者(父)=被保険者(父)

となるので受取人の長男に対して相続税が課税されます。


これは父が生前保険会社に預けていたお金を長男が相続したのと実質的に同じことだということで、長男に相続税が課税されます。

そして、ここで忘れていけないのが生命保険金の非課税です。

相続税が課税される死亡保険金については 500万円×法定相続人の数 は相続税が非課税とされています。

ただし、死亡保険金を受け取った人は誰でも生命保険金の非課税が適用されるわけではありません。

生命保険金の非課税が適用されるのは受取人が相続人である場合に限定されています。

たとえば次の親族関係の場合、父の相続人は母と長男です。


そのため、相続人ではない長男の妻や孫が死亡保険金を受け取った場合には、生命保険金の非課税は適用されないということになります。

一方、相続人である母と長男が死亡保険金を受け取った場合には生命保険金の非課税が適用されるため、母と長男が受け取った保険金は 500万円×2人=1,000万円 については相続税が非課税となります。

ここで気を付けなければならないのは相続税が非課税とされる1,000万円は、母と長男の合計で1,000万円が非課税とされるということです。

母だけが死亡保険金を受け取っている場合は、1,000万円の非課税はすべて母に適用されます。

母と長男がどちらも死亡保険金を受け取っている場合には、それぞれに生命保険金の非課税が適用される金額は、非課税金額1,000万円を受け取った死亡保険金の額で按分して計算します。

たとえば母が3,000万円、長男が1,000万円の死亡保険金を受け取っていた場合、生命保険金の非課税が適用される金額は



となり、母と長男に相続税が課税される金額はそれぞれ2,250万円、750万円となります。



今回の例では法定相続人の数が2人なので非課税とされる金額は1,000万円ですが、相続人の数が多い場合は非課税とされる金額が大きくなることもあり、生命保険金の加入は相続税の節税としては生前贈与の次に用いられる方法です。

生命保険に加入した瞬間に大きな金額について相続税の節税を図ることができるので、時間をかけて実行することが望ましい生前贈与より節税効果の即効性という点では優れています。

一方、生命保険(特に相続対策で活用される終身保険)は解約して戻ってくる金額が大きく目減りすることもあることから資金が必要な時でも解約しにくい面があり、財産のうちに金融資産が少ないなど資金繰りに不安がある場合は利用しにくいというデメリットもあります。

また、生命保険金の受取人に相続税が課税されるパターンでは、受取人を誰にするのかというのは相続税額が大きく変わる重要な要素です。

基本的には子供を受取人とするのが一番お得になる可能性が高いのですが、金融機関の人と話していてもその認識を持っている人は少ないという印象です。

死亡保険金の受取人を誰にするかによる相続税のメリット・デメリットは次の記事で詳しく解説しています。非常に重要な論点ですので、生命保険加入による相続税の節税を検討している方は是非ご覧ください。
生命保険で相続税を節税するには受取人を誰にするかが非常に重要です

贈与税が課税されるケース

贈与税が課税されるのは 被保険者≠保険料負担者≠受取人 である場合です。

例えば次のように生前母が保険料を負担していた生命保険契約について、父が死亡したことにより死亡保険金が長男に支払われた場合には、

被保険者(父)≠保険料負担者(母)≠受取人(長男)

となるので長男に対して贈与税が課税されます。



これは健在である母が保険会社に預けているお金を長男に贈与したのと実質的に同じことだということで、長男に贈与税が課税されます。

贈与税は一度に多額の財産をもらった場合には高い税率で課税されるのですが、実際にはこのような形で保険に加入しているケースはかなり少ないと思います。

所得税が課税されるケース

所得税が課税されるのは 保険料負担者=受取人 である場合です。

例えば次のように生前長男が保険料を負担していた生命保険契約について、父が死亡したことにより死亡保険金が長男に支払われた場合には、

保険料負担者(長男)=受取人(長男)

となるので長男に対して所得税が課税されます。



所得税では所得が10種類に区分されているのですが、このようなケースは一時所得という区分に分類されます。

死亡保険金を受け取った場合の一時所得は次のように計算します。

(死亡保険金の額ーそれまでに支払った保険料の合計額)ー50万円

(死亡保険金の額ーそれまでに支払った保険料の合計額)とは保険を受け取ったことによる利益の額なので、利益の額が50万円以下の場合は一時所得はゼロ(所得税が課税されない)ということになります。

誤解している人が多いのですが死亡保険金をもらったからといって必ず課税されるわけではないのでご注意ください。

一時所得がある場合でも一時所得そのものに所得税が課税されるのではなく、一時所得の2分の1に対して所得税が課税されるので、相続税が課税されるケースほどではないのですが、税金の面では優遇されているといえます。

まとめ

生命保険に関する課税関係は一見複雑に見えるのですが、誰が保険料を負担しているのかということに着目すると意外と理解しやすいと思います。

保険料負担者=被保険者 → 相続税を課税
被保険者≠保険料負担者≠受取人 → 贈与税を課税
保険料負担者=受取人 → 所得税を課税

税金が課税される3つのケースのうち重要なのはなんといっても相続税が課税されるケースです。

実際、生命保険契約の大部分はこのケースだと思います。

しかしこのケースでも受取人を誰にするかということで税負担に大きな差がでるので契約前に慎重な判断が必要です。

死亡保険金の受取人を誰にするかによるメリット・デメリットは次の記事で詳しく解説しています。相続税の節税の観点から非常に重要な論点なので、是非ご覧ください。
生命保険で相続税を節税するには受取人を誰にするかが非常に重要です

また、生命保険は預金と異なり手続きをすれば早期に受け取ることが可能であることや遺留分対策としても有効であるなど税金以外の面でもメリットがあるので上手に活用したい商品と言えます。

当事務所では保険の活用も含めて相続に関する相談を承ります。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

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