若林晃一税理士事務所

相続開始前3年以内の贈与には節税効果なし!ただし孫への贈与は効果があります!

相続開始前3年以内の贈与には節税効果はありません


生前の相続税対策として一番利用されているのは生前贈与です。

相続税の対象となる財産を生前贈与することにより相続税を節税することができます。

しかし、相続開始前3年以内に行われた贈与については相続税の節税効果はないということをご存じでしょうか?

それは相続開始前3年以内に贈与された財産については相続税が課税されるという制度があるからです。

この制度を生前贈与加算と言います。

この記事では、生前贈与加算の内容と生前贈与加算への対策について解説します。

生前贈与をすることによる相続税の節税についてはコチラでも詳しく説明しています。ご興味のある方はご覧ください。
生前贈与で効果的な相続対策を!その仕組みを解説します

生前贈与加算とはどのような制度?

生前贈与加算とは、相続で財産をもらった人が、相続開始前3年以内に被相続人(亡くなった人)から財産を贈与されていた場合には、その3年以内に贈与された財産については相続税を課税するという制度です。

具体例で見ていきたいと思います。

父には1億円の財産がありました。

生前贈与をすることにより相続税を節税しようということで父は令和2年9月10日に長男に200万円贈与しました。

長男は贈与税を

(200万円ー110万円)×10%=9万円 支払います。

その後も父は令和3年9月10日、令和4年9月10日にそれぞれ長男に200万円贈与をして、長男は贈与税9万円をその都度支払います。

しかし、父は令和5年3月20日に亡くなってしまいます。

贈与をする前には財産を1億円所有していた父ですが、3回にわたり200万円の贈与をしたことにより亡くなった時の所有財産は9,400万円となっています。


父には1億円の財産があったけど生前贈与をしたから相続税が課税される財産は9,400万円まで減らすことができた(相続税の節税ができた)ということになるかというと、実はそうではありません。

ここで適用されるのが生前贈与加算です。

長男は相続開始(令和5年3月20日)の3年前の日(令和2年3月20日)以降、父から600万円(200万円×3回)を贈与されているので、この600万円に対しても相続税が課税されます。

その結果、父の相続については生前贈与しなかった場合と同様に、1億円(9,400万円+600万円)に対して相続税が課税されます。


ここで疑問に感じる人もいると思います。

父が200万円を贈与した時に長男は贈与税を支払っているのに、相続税も課税するのは二重課税ではないか⁉

確かにこのままでは父から長男に200万円が贈与したことに対して相続税と贈与税が二重に課税されてしまいます。

そこで二重課税を回避するために、まず父の遺産が1億円ということで(仮の)相続税額を計算した後、長男がすでに支払っている贈与税27万円(9万円×3回)を控除することにより最終的に納付する相続税額を計算するという仕組みになっています。


このように一度支払った贈与税を相続税から差し引く制度を贈与税額控除と言います。

贈与税額控除により贈与税と相続税が二重に課税されることはありませんが、重要なのは3年以内に贈与した財産については相続税が課税されるので相続税を節税する効果はないということです。

逆に考えると相続開始の3年より前に行われた贈与については相続税が課税されないので相続税を節税する効果があると言えます。

記事「生前贈与で効果的な相続対策を!その仕組みを解説します」では生前贈与による節税は早い時期から始めて、「時間をかけて」行うと効果が大きいということをお伝えしているのですが、生前贈与加算の適用を回避するうえでも早い時期から贈与を始めることは有効です。

なお相続時精算課税では相続開始前3年以内に限定されず、相続時精算課税を選択した後のすべての贈与について相続税が課税されることとなります!

相続時精算課税については次の記事で解説しているのでご興味のある方はご覧ください。
贈与を相続で精算する? 難しい相続時精算課税を分かりやすく解説します
相続時精算課税を利用した方がいい場合と注意点について解説します

110万円以下の贈与も生前贈与加算が適用されます

生前贈与について話していると次のように誤解している人がいます。

贈与税の非課税枠110万円以下の贈与であれば贈与税が課税されないので税負担はない。

しかし、相続開始前3年以内の贈与であれば贈与税が課税されない110万円以下の贈与であっても生前贈与加算が適用されて相続税が課税されます。


贈与税がかからないからといって税負担がゼロとは限らないということに注意してください。

孫への贈与は生前贈与加算が適用されないので有利です!

相続税の節税効果がなくなってしまう生前贈与加算ですが、実は誰に対しても適用される制度ではありません。

生前贈与加算とは、相続で財産をもらった人が、相続開始前3年以内に被相続人(亡くなった人)から財産を贈与されていた場合には、その3年以内に贈与された財産については相続税を課税するという制度です。

つまり「相続で財産をもらう人」に対して適用される制度です。

次の親族関係の場合、父が亡くなった時に財産をもらうのは相続人である妻、長男、長女です。

そのため、妻、長男、長女に対する相続開始前3年以内の贈与については生前贈与加算が適用されます。


しかし、孫Aや孫Bは父(孫A・孫Bから見れば祖父)が亡くなっても基本的に財産をもらいません。

そのため、孫A・孫Bに対する贈与は相続開始前3年以内のものであっても生前贈与加算は適用されないので、相続税を節税するという意味では妻・長男・長女に対する贈与よりも有利と言えます。

また長男の妻も相続人ではないので、長男の妻に対する生前贈与も基本的に生前贈与加算はされないということになります。

孫に対する贈与でも生前贈与加算が適用される場合があります


孫に対する贈与について生前贈与加算が適用されないのは、孫が相続では基本的に財産をもらわないからです。

しかし、孫が例外的に相続で財産をもらう場合には生前贈与加算が適用されることとなります。

孫が相続で財産をもらう場合とは主に次の2つがあります。

一つは遺言書で孫に財産を残している場合です。この場合は相続で財産をもらうこととなるので相続開始前3年以内の贈与について生前贈与加算が適用されます。

もう一つは、亡くなった人が保険料を負担していた生命保険契約の保険金受取人に孫が指定されている場合です。

生命保険金は本来相続財産ではないのですが、相続税では保険金も相続財産とされるので保険金を孫が受け取った場合には相続で財産をもらったものとされます。

生命保険金に対する課税についてはこちらで詳しく解説しています
契約前に押さえておきたい 生命保険の死亡保険金に対する3種類の税金について解説します

この場合も、孫に対する相続開始前3年以内の生前贈与ついて生前贈与加算が適用されることとなります。

遺言書を作成したり生命保険に加入する場合、内容によっては本来生前贈与加算が適用されない人にも生前贈与加算が適用されるケースがあるので、慎重な検討が必要です。

まとめ

生前贈与加算について解説しましたがいかがでしたしょうか?

相続で財産をもらう人への贈与は3年経過しないと結局相続税が課税されるので、早い時期から贈与を始めることが肝心です。

また、孫への贈与は原則、生前贈与加算が適用されないのですが、遺言書や生命保険の内容によっては生前贈与加算が適用されるので慎重に検討が必要です。

相続の専門家や生命保険会社の外交員でも生前贈与加算まで視野に入れた遺言書の作成や生命保険の作成ができていない場合が多いので、気になる方はお気軽にご相談ください。

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