若林晃一税理士事務所

贈与税の基礎知識

贈与税には暦年課税と相続時精算課税の2種類があります

「お急ぎ便が届いてご満悦な女性」の写真[モデル:千歳]

生前贈与による相続対策を行うには最初に贈与税の仕組みを理解することが不可欠です。

贈与には大きく分けて暦年課税と相続時精算課税の2つがありますが、ほとんどのケースでは暦年課税による贈与が行われています。

それは暦年課税のほうが手続きが簡単であり、節税効果も大きいからです。

ここでは実際によく行われている暦年課税について説明をします。

相続時精算課税について知りたい方はこちらをご覧ください。
贈与を相続で精算する? 難しい相続時精算課税を分かりやすく解説します

贈与税(暦年課税)の仕組み

「今年の控除額を計算する子供」の写真[モデル:ゆうき]

贈与税はほかの税金に比べると簡単な税金です。

次の3つの注意点を理解すれば贈与税の基本的なことは理解できたといえます。

(1)贈与税は財産をもらった人に課税されます。

財産をあげた人に課税されるわけではありませんのでご注意ください。

(2)贈与税はその年の1月1日から12月31日までにもらった財産の合計金額に対して課税されます

(3)もらった財産の合計金額のうち110万円までについては贈与税は課税されず、110万円を超える金額について課税されます。

上の3つ注意点をおさえれば贈与税は理解できます。

この3つの点が理解できているかを確認するために問題を出してみたいと思います。


父は長男に110万円を贈与しました。この場合、贈与税を支払わなければならないでしょうか?


1年間に110万円までの贈与については贈与税は非課税とされています。

そのため、このケースでは贈与税を支払う必要はありません。

では、次のように父が長男と長女にそれぞれ110万円を贈与した場合は贈与税を支払わなければならないでしょうか?


贈与税は財産を「もらった人ごと」に計算します。

長男と長女はそれぞれ贈与税が非課税である110万円しかもらっていないので贈与税は課税されません。

では次のように父と母がそれぞれ長男に110万円を贈与した場合、長男は贈与税を支払わなければならないでしょうか?


財産をもらった人(長男)は合計220万円をもらっているので非課税金額110万円を除いた110万円に贈与税が課税されます。

贈与税は「財産をもらった人」ごとに、「1年間にもらった合計金額」に対して課税されるということをここで押さえてください。

贈与税(暦年課税)の計算方法

「電卓を見せるOL」の写真[モデル:Lala]

贈与税(暦年課税)の税率は

(1)「祖父母」や「父母」から20歳以上の「子」や「孫」に贈与する財産(特例贈与財産といいます)

(2)(1)以外の人が贈与する財産(一般贈与財産といいます)

で異なります。

(1)の特例贈与財産に適用される税率は


(2)の一般贈与財産に適用される税率は


となります。

多額の贈与をした場合には(1)の特例贈与財産のほうが(2)の一般贈与財産より税率が低くなります。

そのため、贈与者(財産をあげる人)との関係がどのようなものなのかを判定したうえで贈与税の計算をしなければなりません。

ここでは、父と母がそれぞれ長男(40歳)に110万円を贈与した場合で贈与税を計算してみたいと思います。


まず、贈与税の税率は特例贈与財産の税率か一般贈与財産の税率どちらが適用されるかを判定しなければなりません。

長男は20歳以上(40歳)であり、父・母の「子」なので、特例贈与財産の税率を適用します。

次に「基礎控除後の課税価格」を計算します。

「基礎控除後の課税価格」はもらった財産の合計金額から基礎控除額(110万円)を引いた金額となります。

(110万円+110万円)ー110万円=110万円

贈与税額は

110万円×10%(税率)-0円(控除額)=11万円

となります。

贈与税の計算は難しくないですよね!

贈与税の申告は?

「チェック漏れを笑顔で確認してくる女性社員」の写真[モデル:土本寛子]

贈与税の申告は受贈者(もらった人)がします。

1月1日から12月31日までの間にもらった財産について贈与税を計算して、翌年の2月1日から3月15日までの間に申告・納税をします。


また、財産を贈与されて確定申告をした場合、贈与された人の所得税・住民税・健康保険料・国民年金保険料は高くなってしまうのではと心配をする方もいます。

贈与税の申告をしても所得税・住民税・健康保険料・国民年金保険料は高くならないので安心して贈与をしてください!

贈与税(暦年課税)にはお得な特例も

減税に喜ぶ人達のイラスト
贈与税は1月1日から12月31日までの間に贈与された財産の合計額を計算したうえで贈与税を計算します。

贈与された財産の合計額を計算する上で次のような、次のような特例を使ってお得に計算することができます。

住宅取得資金贈与の非課税(おすすめ度:★★★★
子や孫が住宅を購入・新築する資金を一定額、贈与税が課税されることなく贈与することが出来る制度です。デメリットはほとんどないので利用をお勧めします。

教育資金の一括贈与の非課税(おすすめ度:★★
子や孫の教育資金を1500万円まで贈与税が課税されることなく贈与することが出来る制度です。使い方を間違えなければ有効な相続対策になります。

結婚・子育て資金贈与の非課税(おすすめ度:

贈与税の配偶者控除(おすすめ度:

これらの特例の中でも特に、住宅取得資金贈与の非課税(特にオススメ)、教育資金贈与の非課税を利用すればさらに効果的に相続対策を行うことが出来るので是非検討してください。

まとめ

贈与税について知っておきたい基礎的な事項について解説しましたがいかがでしたでしょうか?

贈与税の仕組みを理解すれば効果的に生前贈与による相続対策をすることができるはずです。

生前贈与による相続対策の仕組みについても解説していますので是非ご覧ください。

お断り

提供する情報は一般的なもので、いかなる個別の事案に対しても適用されることを保証したり、解決案を提供するものではありません。個別の事案については、専門家の意見を確認したうえで、ご判断下さい。

お問い合わせ

携帯用QRコード

QRコード
携帯のバーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、携帯版ホームページへアクセスできます。

バックオフィスの業務効率化なら「マネーフォワード クラウド」



若林晃一税理士事務所
〒323-0828
栃木県小山市神山2-5-30
TEL:0285-42-4371
FAX:050-3164-5098

(↑以前と違うのでご注意下さい)
E-mail:wakabayashi@syo-kei.jp

PAGE TOP